2005年08月02日

「アタリ・ショック」は本当にあったのか[その1]

 1983年。全世界で1400万〜1500万台の普及を実現し、当時の家庭用テレビゲーム機の王者であったATARI VCSは、突然、ソフト・ハードともに大きく売り上げを下落させた。瞬く間にテレビゲーム市場全体の売上が急落し、市場そのものが崩壊。以降、1985年にNES(北米版ファミコン)が登場するまで、アメリカのゲーム市場には空白期間ができてしまった。


――これが、俗に言う「アタリ・ショック」の顛末です。


 実際のところは、1982年、ATARIの親会社であるワーナー社の経営戦略の失敗に起因するといわれていますが、そのような内部事情は、ここでは考えないことにしましょう。

 ここで問題としたいのは、この事例が、「ゲームソフトの粗製濫造」による「ユーザー離れ」が原因である、と説明されることが多いことについてです。

 不思議なことに、いまでも「アタリショック」という言葉は、「くそゲーが増えすぎると市場が崩壊する」という意味で、ゲームファンの間で認識されていますよね。


 だけど、この考え方は、どうにも納得できない


 冷静に考えてみましょう。
 「くそゲー」が増えたくらいで、ゲーム市場って崩壊しちゃうのですか?


 コンテンツビジネスって、そんな脆弱じゃないと思うのですが、いかがでしょう? つまらない本が増えたって、出版業界が崩壊したことはなありません。映画も、音楽も、同様です。一社が品質管理をしているわけではないけれど、それらのコンテンツ市場は崩壊していない。市場原理が働くことにより、駄作は自然と淘汰されていくからですね。市場が落ち込んだり、冷え込むことはあっても、一気に崩壊することは、そうそう起きることじゃない。

 ATARI VCSには1400万人のユーザーがいたのです。それだけの人数のゲームファンがいたということです。とすると、「面白いゲームがない」からといって、全員が一斉にゲームを買わなくなるとは、いくらなんでも信じられないのですよ。ゲームって、やや汚い言葉を使うならば、「中毒性がある」娯楽です。全員が一斉にゲームをやらなくなるなんてことは、ちょっとあり得ないと思うのですが、いかがでしょう?


 だから、常識を疑ってかかることにしましょう。


 このようなときは、原点に戻って考えてみるのが一番です。もし、わたしたちが、まだ「アタリショック」という言葉を、一度たりとも聞いたことがない状態だとします。「粗製濫造がゲーム市場を崩壊させる」という仮説も、もちろん聞いたことがない状態だとします。

 そのような仮定のもとで、1983年の出来事を、もう一度考察してみましょう。目の前にあるデータは、わずか1〜2年で、ATARI VCSというゲーム機と、その対応ソフトが、ほとんど売れなくなった」という事実だけです。

 この事実しか知らなかったと仮定するならば、わたしたちは、「ATARI VSCが売れなくなった理由は、どこにあるのか?」という問いに対して、どんな結論を出すでしょうか?


 これが、このBlogで取り扱う最初のテーマです。


 「粗製乱造による市場崩壊」という言葉に頼ることなく、「アタリショック」について、多くの人が納得する理由を、いっしょに探していきましょう。



[この項、さらに後日に続きます]
posted by 野安 at 16:30| Comment(1) | TrackBack(0) | アタリショック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この後の展開予想
http://d.hatena.ne.jp/hally/20040514
Posted by 1 at 2005年08月03日 19:53
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